朝から怒鳴らなくたっていいじゃないか

 とりあえず今日をやり切ってもまた明日が来る。しんどい。 

二十歳の女の子で、花も盛りの盛りなのに、なんだこのありさまは。これは絶対に正しくない。二十歳の女の子はみな一様に幸せであるべきだ。美しくないし正しくない。楽しくないのはなんでだろう。不本意な場所にいて不本意なことをしているからだ。

 兄が高校に入りたての時、毎朝吐きながら登校していた。吐く場所は家の洗面所だったり、学校に行くまでの徒歩十分の道すがらだったりした。兄は辞めたい辞めたいって言いながら、ゲロ吐きながらも登校し続けた。私はそれを何も言えずにじっと見ていた。掴んだ場所にしがみついてがんばるのがとりあえずのまともな人間なのかもしれない。何がそんなにつらかったのか兄は話さなかったから分からない。でも次第に学校にも慣れて辞めたいとも言わなくなって、代わりに友達の話や授業中の面白い出来事を話すようになった。お見事。でも兄は明らかに高校で変わった。大人になったけど、優しくなくなった。昔みたいに一緒にゲームではしゃいだりできなくなった。ちょっと変な面が目立つようになった。何が良くて何が悪いのかは、外から見るだけじゃ分からない、と思う。 

 というのも、今日泣きながらバイト先に向かう途中、ふと今の自分が高校時代の兄と似た状況にあると気づいたから。私もこうして必死に踏ん張っているうちに、心のどこかが固くなっちゃって、変わっていくのだろうか。やだなあ。大人ってなんでみんなしんどそうな顔をしてるかっていうと、あれは実際毎日がしんどいからなんだよなあ。あー、私心身の性質でいうと年収1000万くらいの医者の娘で金に不自由しなくて、実家暮らしの箱入り娘っていう感じだから、過重な負荷は本当に身にこたえる。根はわがまま娘なんだよなあ。今の身辺の80%が気に食わないものでできていて、本当は80%が好きなものでないとやっていけない。病気になる。